たった二つの点とバッテンだけのシンプルなお顔なのに、なぜか可愛くて惹かれてしまううさぎの女の子「ミッフィー」。
ミッフィーの作者ディック・ブルーナは、1953年に初めての絵本『de appel(りんごぼうや)』を発表し、以来124冊の絵本を生み出してから70年経った今でも「ミッフィー(うさこちゃん)」シリーズは世界的なベストセラーになっています。
そんな日本はもちろん世界中で愛されているッフィーの魅力を大調査!
子どもだけでなく、大人でも楽しめるミッフィーの絵本をご紹介します。
Contents
ミッフィーの作者「ディック・ブルーナ」とは
ミッフィーの作者ディック・ブルーナは、オランダのグラフィックデザイナーで絵本作家です。
ある日、ブルーナ一家が休暇中海辺で過ごしていると、野うさぎを見つけました。
その野うさぎをを見て、ディック・ブルーナはまだ小さかった息子さんにうさぎのお話をしてあげたそうで、それがきっかけでミッフィーが1955年6月21日に誕生しました。
ミッフィーの絵本は1955年から2011年まで30作以上出版され、日本語を含めて多くの言語に翻訳されています。
(画像引用:dickbruna)
ミッフィーの絵本の人気について、ブルーナさんは
「ミッフィーがたくさんの人に愛されるのは、シンプルで、あたたかで、正直で、ヒューマニティがあるからです」
との言葉を残されています。
それはブルーナさん自身の人柄がミッフィーとして描かれていることこそが、世界中で愛されている理由ではないでしょうか。
ミッフィーの絵本は癒しと元気をもらえます。
ミッフィー絵本10選!大人でも楽しめるお話とは
ミッフィーは絵本の読者と同じくらいの0才~6才の女の子。
正直で純真で勇気があり、いつも新しいことに興味津々です。
ミッフィーの絵本は、ミッフィーと、家族やおともだちが繰り広げるあたたかい物語が描かれています。
そんなミッフィーの経験は大人になってからも通ずるものもあります。
ディック・ブルーナが描く絵本にはさまざまな視点や物事に対して考えさせられるお話も多いです。
ミッフィーの絵本は子どもの頃の気持ちや大切なことを思い出すきっかけにもなり、最後は必ず温かい気持ちになります。
ちいさなうさこちゃん
うさぎのふわふわさんとふわおくさんはとっても仲良しです。
あるひ、ふわおくさんのところに天使がやってきて、
かわいい赤ちゃんが生まれました。
ふたりは赤ちゃんに「うさこちゃん」という名前をつけます。
太った牛ににわとり、たくさんの動物がうさこちゃんを見にやってきて、
ふたりにお祝いの言葉を贈ります。
「うさこちゃん」シリーズの代表作。
世界40言語以上に翻訳されているディック・ブルーナの絵本です。引用:福音館書店 https://www.fukuinkan.co.jp
この絵本がミッフィーの原点となる絵本です。
ディック・ブルーナのシンプルな線と鮮やかな色で描かれた絵と、いしいももこさんの言葉の美しさやリズム感のある日本語訳に子どもだけでなく大人も魅了されます。
ミッフィーの出身国はオランダですが、それよりも多く日本で読まれている作品です。
うさこちゃんとたれみみくん
うさこちゃんのクラスに転校生が来ました。
その子は他の子と少し違って片方の耳がたれていたので、
クラスのみんなが「たれみみくん」とよびはじめました。
うさこちゃんは、たれみみくんと親しくなるにつれ、
そのあだ名が気になり始めます。
いやじゃないかしら。
そこでうさこちゃんは一晩考えて、翌朝新しい友だちのために、
勇気をもって行動しました。
友だちとの関係の中で、うさこちゃんが大きく成長するお話です。引用:福音館書店 https://www.fukuinkan.co.jp
誰だって言われて「嫌だな・・・」と思っても我慢しちゃうことってありますよね。
そんなたれみみくんの気持ちに気づき、勇気を持って行動したうさこちゃんは素敵だなとで思えます。
「多様性」を考えることや、尊重し合う大切さを教えてくれる絵本です。
うさこちゃんびじゅつかんへいく
うさこちゃんが初めて美術館へ行くお話です。
お父さん、お母さんと、3人で行きました。
本物そっくりのりんごの絵を見たり、うさこちゃんにそっくりだけど、
青いうさぎの彫刻を見たりして、うさこちゃんは大満足で帰りました。
そして、うさこちゃんは思いました。
大きくなったら、画家になるの!
具象、抽象、立体、彫刻など、美術の主なジャンルをとりあげて
紹介する形になっており、小さな子の美術館入門にはぴったりの1冊です。引用:福音館書店 https://www.fukuinkan.co.jp
美術鑑賞とは、作品の内容、作者の気持ち、当時の時代背景など、どのように見てどのように感じればいいかなど、一言では言い表せないような難しいイメージを持たれがちですよね。
この絵本はうさこちゃんの目線になって美術鑑賞を楽しめたり、うさこちゃんのような楽しみ方もあることが分かります。
この絵本だけでなく、ディック・ブルーナが描く絵すべてで美術鑑賞が出来ていると感じます。
うさこちゃんとだいすきなおばあちゃん
うさこちゃんの大好きなおばあちゃんが、亡くなりました。
家で亡くなったおばあちゃんを悲しみながら見送る周りの人や、お墓のことなど、
身近な人の死が、この本には描かれています。
ブルーナさんの死の描写は、簡潔ですが、国や文化が違っても変わらない大事な部分を
しっかり描いているため、幼い子どもたちに、きちんと伝わる内容になっています。引用:福音館書店 https://www.fukuinkan.co.jp
生きている限り避けられない「死」についてさり気なく伝えてくれます。
うさこちゃんシリーズは、うさこちゃんのほのぼのとした日常のお話が多いですよね。
この絵本は冒頭からうさこちゃんのおばあちゃんが亡くなるという少し重いテーマですが、大切なことはすべて凝縮されているような内容です。
最後のおばあちゃんを思ううさこちゃんの優しい気持ちに心が温かくなります。
うさこちゃんとにーなちゃん
遠い外国に住んでいる茶色いうさぎ、にーなちゃん。うさこちゃんの文通相手です。
ある日、にーなから「うさこちゃんに会いに行くわ! 」という手紙が届きます。
大喜びするうさこちゃん。
そして待ちに待った日、にーなは飛行機に乗ってやってきます。
すっかり意気投合したふたりは、かけっこやボール遊びをして仲良く遊びます。
パジャマに着替えるとき、にーなのおなかを見たうさこちゃんは、
その色がなんともうらやましく思えたのでした。
ふたりの友情が微笑ましい作品です引用:福音館書店 https://www.fukuinkan.co.jp
今はスマホやパソコンがあれば、世界中どこにいてもすぐに連絡が取り合えますが、昔は電報やハガキや手紙、電話を繋いでもらうなど、人づてに連絡を取り合うのが主な連絡手段でした。
この絵本ではうさこちゃんとにーなちゃんが手紙のやり取りの楽しむ様子や、会う約束の日をどれほど心待ちにしていたかを思える様子があるなど、文通の良さを感じられます。
誰かと繋がれたり会えたりできることはとても嬉しいことですよね。
うさこちゃんとにーなちゃんのようにお互いに違いはあっても認め合い、充実した時間を共有できる関係は素敵と思える絵本です。
うさこちゃんはおばけになる
いたずら好きのうさこちゃん。
ある日おばけに変身してみんなを驚かしてやろうと思いつきます。
さっそくお母さんに古いシーツをかぶせてもらって、穴をあけたら……
おばけうさこのできあがり!
さっそくうさこちゃんは「こわーいおばけだぞうー」とお友だちを脅かします。
一目散に逃げ出したういるめいんとあーは。
でも、ひょっこり出くわした、大好きなふわこおばさんまで逃げ出してしまい、
うさこちゃんはおばけになるのがイヤになってしまいました……。引用:福音館書店 https://www.fukuinkan.co.jp
うさこちゃんがおばけに変装してお友だちを驚かすという、子どもらしいいたずらや感性が可愛らしく感じられる絵本です。
人によってはいたずらやサプライズやドッキリなど、苦手に感じることもあると思いますが、うさこちゃんのいたずらはクスッと笑ってしまう何とも平和なオチでほっこりするお話です。
ゆきのひのうさこちゃん
雪がたくさんふった日、うさこちゃんは外に遊びにいきます。
帽子、長靴、えりまき、手袋、準備は万端です。
そりすべり、スケート、雪だるま、楽しく遊んでいたうさこちゃんでしたが、
雪の中で泣いている1羽の小鳥をみつけます。
小鳥は寒くて泣いているのです。
うさこちゃんは、かなづちや木切れをお父さんからかりてきて、
小鳥のおうちをつくりはじめます。
とんかんかん。
どんなおうちができたかな?小鳥はよろこんでくれたかな?引用:福音館書店 https://www.fukuinkan.co.jp
帽子や長靴など防寒対策ばっちりで可愛いうさこちゃん。
ひとりで冬の遊びをアクティブに楽しむ姿や、小鳥のお家を器用にDIYする姿も見られます。
一人遊びを楽しむ中で、小鳥のためにお家を作ってあげるうさこちゃんの優しさにきゅんとします。
ミッフィーとフェルメールさん
ミッフィーと観るフェルメールの世界
ある日ミッフィーは「フェルメールさん」という画家の絵に出会います。
さあミッフィーといっしょにこどもの目になって、名画を観てみませんか?
こどもと一緒に絵画を鑑賞したら、どんなに楽しいことでしょう。
こどもたちのまっさらな目に映る名作絵画は、きっと「なぜ?」「なに?」でいっぱい。既存の解釈には収まらない、奇想天外でユニークな視点に満ちていることでしょう。
本書は、17 世紀のオランダの画家・フェルメールが何を考え、どんなふうに描いていたのかを想像しながら絵を観ていきます。
同じくオランダで生まれたミッフィーとの対比によって、こどもも大人も、名画の魅力に気づくことができる、新たな発見がつまった一冊です。引用:美術出版社 https://bijutsu.press
ミッフィーと一緒にフェルメールの名画を鑑賞する絵本です。
ミッフィーはお父さんとお母さんと一緒にフェルメールの絵を鑑賞し、ミッフィーが質問をするとお父さんがそれについて答えてくれます。
『牛乳を注ぐ女』を見て、ミッフィーは「きいろと あおの おようふくが きれいだなあ」と絵の色使いや場所などを次々と質問したり、「うでがずいぶんふといのね」ととても素直な子どもの感想です。
フェルメールとミッフィーは同じオランダ出身という共通点があります。
フェルメールの目で見えるものを見える通りに描く繊細な絵と、ミッフィーのできるだけ少ない色や線で完結に描かれた絵の対比も面白いポイントです。
ミッフィーとマティスさん
大好評となった一作目の『ミッフィーとフェルメールさん』に続き、
「こどもと絵で話そう」シリーズの続編!
今回、テーマとなったのはマティスの切り絵です。
マティスは、ミッフィーの作者、ディック・ブルーナが
切り絵で絵本をつくるきっかけとなったフランスの画家です。
『ミッフィーとマティスさん』では、ミッフィーの絵と
マティスの切り絵の世界をつなぎ、こどもの視点で絵を観るという、
新しいアートとの出会いを提案しています。
「こどもに読み聞かせて」、こどもと絵について話したり、
「大人が自分で読んで」、こどもの視点で絵を観てみたり。
さぁ、ミッフィーといっしょに、名画を観ていきましょう。引用:美術出版社 https://bijutsu.press
ミッフィーと一緒にマティスの名画を鑑賞する絵本です。
ある日ミッフィーが切り絵をしますが失敗して落ち込んでいると、お父さんが「変でも大丈夫」とマティスの絵を紹介します。
ミッフィーは『ジャズ』をみて「こりゃなんだあ?」。
ミッフィーの作者ディック・ブルーナは、マティスに影響を受けたことがミッフィーを生み出したきっかけになったそうです。
ミッフィーとほくさいさん
ミッフィーと観る葛飾北斎の世界。
ある日ミッフィーは「北斎さん」という画家の絵に出会います。
さあミッフィーといっしょにこどもの目になって、名画を観てみませんか?引用:美術出版社 https://bijutsu.press
オランダ出身でシンプルな線と限られた色で描かれたミッフィーと、日本出身で極端な遠近法と西洋とかけ離れた技法で描かれた葛飾北斎の絵のコラボレーション。
日本の文化にもなるほど漫画やアニメなどが身近に感じる絵ですが、葛飾北斎の絵は日本人に馴染みのある絵に思えます。
その絵をオランダ出身のミッフィーが見るとどんな感想になるのか?
ミッフィーが葛飾北斎の絵についてコメントしていますが、ミッフィーもアートのように見えてきて、どちらも楽しめる内容です。
こどもと絵で話そう「ミッフィーと絵かきさん」
「ミッフィーとフェルメールさん」「ミッフィーとマティスさん」「ミッフィーとほくさいさん」の3冊セットボックスです。
ミッフィーとフェルメール、マティス、葛飾北斎という異色のコラボレーションは、知的なおもしろさがあるので、大人でもよみごたえ十分。
絵を見るのは難しいのではなく、シンプルに「絵を楽しむ」ということを思い出させてくれます。
大人がミッフィーの絵本にハマる理由
お店やゲームセンターや100円ショップなど、いたるところで見かけるようになったミッフィー。
子ども向けのキャラクターのはずが、なぜ大人にも人気なのでしょうか。
またミッフィーの絵本も自分のために購入する人も多いことから、その理由について調べてみました!
ミッフィー世代が自分で買えるようになったから
子どもの頃、ミッフィーの絵本を家族や保育士などに読み聞かせしてもらっていたり、ミッフィーのアニメを見ていたりしていた世代が大人になり、子どもの頃の懐かしさや癒しを求め、自分のために購入する人が多いようです。
経済的な余裕や自分で好きな物を購入できるようになったことから、身の回りの物をミッフィーで揃えたりコレクションしたりなど、ミッフィーグッズの種類が多くなるのに比例して購入する人も増えていきました。
また、人は一度も買ったことのない物よりも過去に何度か買ったおなじみの商品を選んでしまう性質があり、そこに懐かしさを感じてより購買意欲が高まることで大人になってからハマる人が続出したのではないでしょうか。
大人になった自分へ、子どもへ、そして孫へ
ディック・ブルーナがデザインしたミッフィーには、見る人の心に寄り添おうとする気持ちが込められているため、ミッフィーを見ると可愛さや癒しを感じることのほかに、見守られているような安心感を感じられることが。
そのため自分のために購入する人もいれば、親になって子どもにプレゼントされたり、おじいちゃんおばあちゃんになって子どもや孫にプレゼントされています。
なかには子どもの頃苦労を掛け、そのお礼に思い出のミッフィーを子どもから親へ送るという人もいらっしゃるようです。
数ある子ども向け絵本やアニメのキャラクターのなかでミッフィーにお世話になったという人は多いのではないでしょうか。
ミッフィーの絵本は大人も対象年齢に含まれる?
ミッフィー(うさこちゃん)は絵本の読者と同じ0才~6才の年齢であり、絵本の対象年齢も0歳~4歳までがほとんどです。
しかし、大人になってもミッフィーの絵本を思わず手に取ってしまうのには理由があります。
それは、大人になったからこそわかるミッフィーの絵本の内容や世界観などの『良さ』や『深み』。
子ども向けに描かれた絵本だからこそ『気づき』や『教え』の表現が分かりやすく、子どもの頃気づかなかったことや忘れていたことを呼び起こしてくれます。
ディック・ブルーナが描くミッフィーの絵本は、誰でも体験するような何気ない日常をテーマにして描いているため、どんな人でも共感できる物語になっています。
また、どんなに悲しいお話でも最後はハッピーエンドで終わるのは、「辛いことがあっても希望を忘れないで」というディック・ブルーナのメッセージが込められています。
そんなディック・ブルーナが描くミッフィーの絵本は、子どもだけでなく大人にも通ずる物語も多いため、年齢に関係なく親しまれています。
まとめ
大人でも楽しめるミッフィーの絵本の魅力についてまとめてみましたが、いかがだったでしょうか?
ミッフィーこと、うさこちゃんは0才~6才の女の子です。
お話によって年齢は違いますが、誰でも体験するような日常のお話が多く、共感できる部分も多いため子どもだけでなく大人でも楽しめます。
「もう子どもじゃないから・・・」と言わず、昔のお友だちに会うような気持ちでミッフィーの絵本を開いてみてください。
きっと懐かしさや温かさに心がほっこりしますよ。